どうしたら交渉できるようになる? ー書評『ハーバード実践講座 内面から勝つ交渉術 』エリカ・アリエル・フォックス 著

書評

こんにちは。しんごです。わたしたちの生活に、常に囲まれている交渉。こんな些細な夫婦間の話も交渉です。

つま「 最後のいちご食べても良い?」

わたし「 いいよ〜 」

もちろん、ビジネスの場やお買い物やお出かけの行き先などいろんなシーンで交渉が出てきます。どうしたら交渉がうまくできるんでしょうか。

この本で学んでいきましょう!!

自分の内面を変えよう

もう初めっから交渉術ではなくなります(笑) 自分の内面を変えていこうという内容からスターです。

筆者は交渉学の専門家で交渉術を教えている方です。ご自身が日常生活の交渉において、ノウハウだけでは不十分な交渉があり、うまく行かないことが多々あったそうです。

その足りない物は何か。

それが自分の内面ということでした。この自分の内面のコントロールなくして交渉はうまくいかない。そういう考えのもと、この本は始まっています!!

理想と現実のギャップ

先輩に「 この仕事やっといて!! 」と言われて、本当は無理なのに「 わかりました!! 」と言ってしまう。

彼女に「 これ買って〜 」と言われて、本当はお金ないのに無理して買っちゃう。

こんな経験はありますか?笑

理想と現実のギャップ。この本では、パフォーマンスギャップという言葉を使っていますが、人の中にはこのパフォーマンスギャップがあり、まずはそれをしっかりと認識することだと言っています。

仕事お願いされたけど、今日は時間がないから断りたい。 という理想があるのに関わらず、現実は承諾してしまう。

このギャップが無意識にストレスにもなっています。

このギャップを起こさないためにも、自分の内面を知ることが大切です。

周りと自分の評価ギャップ

あの人はとても怒りっぽくて、とてもついていきたいとは思えない。でも、その人は自分自身のことをリーダーシップがありチームをまとめられる、と思っています。

この場合、明らかに周りの評価と、自己評価にギャップが生じています。

周りから見たらわかるのですが、大抵の場合、その人自身は周りの評価には氣付いていません。教えてあげたとして信じられない!! という感じで受け流します。

実は、この2つの評価、どちらかだけがその人ではなく、2つそろってその人自身であることを認識しましょうということです。

内面にはたくさんの人がいる!

自己評価の自分と周りの評価の自分、その2人に限らず、人の中にはたくさんの人がいます。それを理解することがとても大事。複数の自分を認めることです。

この本ではそのたくさんの人の中から、7人を意識しようと言っていました。

ビッグ4の存在

まずは4人の紹介です。自分の中に必ずこの4人がいて感情や行動を引き起こしています。自分自身の中に、この4人がしっかりいることを認識しましょう!!

  • 夢想家
  • 思考家
  • 恋人
  • 闘志

夢想家

最大限の可能性を導きだす。戦略を立てる。方向性を指示する。

得意なのは、長期計画を立てること。情熱を持って夢を追いかけること。

思考家

客観的な視点を提示する。データの分析をする。危機を避ける。

得意なのは、事実や理論を当てはめること。物事を多面的に検討すること。

恋人

他人の面倒をみる。感情に配慮する。人間関係がスムーズにいくように氣を配る。

得意なのは、他人の感情に共感すること。他人と協力し合うこと。

闘志

行動を起こす。計画を実践する。目標を達成する。

得意なのは、反発を恐れずに主張すること。躊躇せずに行動を起こすこと。

ビッグ4の現状を知る

この4人が必ず誰にもいるのだそうですが、声の大きさは人によって異なるようです。

わたしの場合、思考家の声は小さく、恋人や夢想家の声が大きい傾向にありました。

人のために、と自分を犠牲にしてでも動くときが多々ありましたので、恋人のエネルギーが本当に強かったと思います。また逆に、思考家のエネルギーは本当に小さかったと思います。今は思考家の発言力も上がり、4人がほぼ同じ位の権力です。

今、自分の中のビッグ4は誰が声が強くて、誰が弱いのかを把握しましょう。普段はビッグ4のうち2人しか出てこないと筆者は言います。

まずは現状把握から。

本の中で、4人の力関係がわかる事例の説明と簡単な質問がありました。ぜひ試してみて下さい!!

ビッグ4を束ねる3人

ビッグ4を把握したら、その4人のバランスがとても大事です!! そのバランスをとる役割を担うのがこちらの3人です。

  • 見張り
  • 船長
  • 旅人

これまた、面白い3人組です。

見張り

ビッグ4の誰かが暴走しないようにするための役です。自分自身を客観視するためにも必要な役割ですね。

船長

自分という船をどの方向へ進めるのかを導く役割です。乗組員はビッグ4ですから、船長がどう導くかで行動が大きく変わってきます。

旅人

いつもと異なるパターンを提案してくれる役割。

横断歩道の信号が青の点滅ときは、いつも走って渡っていましたが、今日は止まってみました、というようにいつもとは異なるパターンを用意してくれます。

7人がそろって自分

ここで紹介した7人が自分自身の中でいつも会議を繰り広げ、行動したり考えたりしているということなんですね。

こういう発想は無かったので、この本を読みながら、「 わたしはどうなんだろう?」と、自分と向き合う時間がとれました!!

読んでいたときは、自分の中の船長さんががんばって読書へ誘導してくれていたと思います(笑

本書をひとことで。

「 まずは自分との交渉!! 」

初め、他人との交渉をうまくやるためにはどうしたら良いのだろう?と思い、手に取ったのですが、読んでみたら、自分の内面をまずはコントロールできるようにしましょうという内容でした。

自分の内面には色々な自分がいますから、まずは自分自身との交渉が必要なんだと思いました

学んですぐできることではなく、毎日意識して生活することでできるようになる。自転車に乗るのと同じ感覚ですね。

著者はどんな人?

著者のエリカ・アリエル・フォックスさんはどんな人なのでしょう。

プリンストン大学を経て、ハーバード・ロースクールを修了。そのハーバード・ロースクールで交渉学を教えていらっしゃるそうです。

オランダ人の旦那さんがいて、オランダに引っ越したときの経験をもとに今回の「 内面 」を意識し始めたそうです。

エリカ・アリエル・フォックスさんの詳細は →公式ページ(英語)

まとめ

世の中の交渉は勝ち負けとかwin-winとか言いますが、その前に自分自身との交渉が必要なんですね。そのためにも内面を知ることはとても大事。

この本の最後には「 目覚め 」というキーワードがあります。まさに本当の自分への目覚めのきっかけになる本だと思います。

交渉という世界から自分の内面へ。

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